公道の下に超電導ケーブル

 超電導ケーブルによる直流送電では世界最長レベルの距離となるという。また、公道の下に埋設したのは国内で初めてだ。

図8●建屋の地下にある超電導ケーブルの末端(出所:日経BP)
図8●建屋の地下にある超電導ケーブルの末端(出所:日経BP)
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図9●液体窒素を使った冷却システム(出所:日経BP)
図9●液体窒素を使った冷却システム(出所:日経BP)
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 石狩太陽光発電所の隣接地と石狩データセンターには、3階建てほどの高さの建屋が設置され、超電導ケーブルの末端が顔を出している(図8)。建屋に入ると、1階に液体窒素を使った冷却システムや、冷凍機などが導入され、地階の超電導ケーブルに液体窒素を送っている(図9)。

 高温超電導ケーブルが省エネシステムとして、意味を持つのは、送電ロスの削減量が、冷却に必要な電力量以上に大きい場合だ。そのためには熱侵入を抑える高度な断熱技術が求められる。そこで重要なのが、液体窒素を封入し魔法瓶の役割を担う「超電導ケーブル管」だ。今回は、1本12mのケーブル管を接続し、500mに伸ばした。

 石狩の実証事業では、新たな断熱2重管の構造を採用したことなどで、送電路の熱損失は1.5W/m以下で、従来の約半分を達成した。また、液体窒素が循環する際の損失は従来の約4分の1に削減した。