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Niメッキ接続の特徴

 Niは電子材料で比較的広く使用されてきたが、主として、チップサイドでは、バンプの下地の密着用、あるいは拡散バリヤ用として用いられてきた。融点は1453℃、電気抵抗は6.99×10-8Ωm で、Sn:12.6、Pd:10.8×10-8Ωmと比較して低い値である。熱膨張率は13.3×10-6で、Si:7.6、SiC:4~5など半導体材料に比較して高いが、Cu:17×10-6よりも低い。またCuリードなどとの接合を想定した場合には、Ni-Cuの合金状態図で示されるとおり、全率固溶体であり、実装材料の接合界面の長期信頼性で頻繁に問題となる金属間化合物の形成による脆化(ぜいか)やボイド形成の問題の懸念が少ないと考えられる。

Ni/Cu接合界面の高温安定性5)

 Si 半導体の実装では、プリント基板のCu配線あるいは電極上にNiメッキされている場合があるが、200℃以上での使用が想定されていなかったために、高温での界面の信頼性については、検討された例がほとんどない。Cu ワイヤ(172μmϕ)にNiメッキ(25 μm)し、各温度で60 min 加熱した場合の電気抵抗変化率は、300℃で0.5 %、400℃で1.8 %、500℃で8% 程度の上昇となる。図7 は、Ni/Cu 拡散対(Cu 基板上へのNiメッキを行ったサンプル)を相互拡散させて、断面の元素分布測定とボイド形成について観察を行った結果である。500 ℃では、5μm程度の合金層が形成され、またCu、Niの相互拡散の拡散係数の違いによる、カーケンダルボイド†3の形成がわずかに観察される。拡散の活性化エネルギー(225 kJ/mol)から見積もると、350℃で4500h、300℃では106h以上の時間に相当する。また、ワイヤ接合部の強度についても測定を行い、ワイヤ剥離強度は、500℃までの加熱では上昇していることを確認している。以上のことから、300℃程度の使用環境ではNi/Cu 界面の長期安定性は確保できるものと考えられる。

図7 Cu 板へNiメッキした接合拡散対の界面近傍の濃度分布
図7 Cu 板へNiメッキした接合拡散対の界面近傍の濃度分布
(a)300 ℃、60 min 加熱、(b)500 ℃、60 min 加熱
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†3 カーケンダルボイド異なる金属の接合対が加熱される場合、双方の原子が界面を境として相互に拡散する。異種金属のそれぞれの拡散速度の違いにより、相手側への移動量の多い金属側に過剰な原子空孔が残留し、それらが集合することにより形成されるボイド。