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本記事は、応用物理学会発行の機関誌『応用物理』、第84巻、第10号に掲載されたものの抜粋です。全文を閲覧するには応用物理学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(応用物理学会のホームページへのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(応用物理学会のホームページ内、当該記事へのリンク)。『応用物理』の最新号はこちら(最新号の概要PDF)。

光技術を用いたイメージング技術はバイオ・物性研究に欠かせないツールとなってきている。多光子励起顕微鏡法によるin vivoイメージングは近年の脳機能研究の発展に多大な貢献をしてきている。脳は散乱体であり、通常ではほんの数百μmの深さしか可視化できない。我々は新規高出力半導体レーザー光源および高感度蛍光検出器を組み合わせることでマウス生体脳深部(1.5mm)に位置する海馬歯状回を非侵襲で高解像度イメージングすることに成功した。

 脳の機能は、構成する神経細胞が織り成す神経回路を通じて実現されていると考えられており、近年、多くの脳機能の研究が神経回路を対象としてなされてきている。世界的な動向においても脳機能の全容を神経回路レベルで明らかにする国家プロジェクトが実施されており1,2) 、日本でも同様のプロジェクトが進行している3)

 脳機能の基盤である神経回路は脳組織中で広く3次元的な広がりをもつ。この脳神経回路を生きたまま観察する手法として、ヒトやサルなどの大型の脳をもつ生物の場合には磁気共鳴機能画像法(functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI)や近赤外分光分析法(NearInfra-Red Spectoroscopy: NIRS)が有効である。

 一方で、その解像度は最良で数十μmであり、神経回路を構成するシナプスやスパイン、軸索を可視化し、解析することは困難である。そこで、生体脳をサブミクロンの高解像度で可視化することができる観察手法としてin vivo2光子励起蛍光顕微鏡が重用されてきた4,5)