電動ならではの利点を生かす

 ササキコーポレーションは、製品化したリモコン型草刈機のほかにも、蓄電池を動力に使った草刈機の開発を手がけていた。

 農林水産省の補助によって、農業・食品産業技術総合研究機構と共同開発した田んぼのあぜ道向けの電動草刈機である。この開発では、リモコン操作のほか、一定の幅や強度をもつあぜ道では、自動走行も可能にすることを目指した。

 今回の電動草刈機でも、リモコン操作を採用したのは、太陽光発電所の敷地内には、ネズミやヘビといった小動物が潜んでいる場合があるなど、作業者の安全を確保するために、遠隔操作が適していると考えたためとしている(図3)。

図3●リモコン操作にした理由の一つはヘビ対策
図3●リモコン操作にした理由の一つはヘビ対策
(出所:ササキコーポレーション)
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 架台の下でも刈れるようにする目的で、車体の高さは40cmに抑えた。これは、エンジンを動力とする場合には実現できない低さで、電動ならではの利点の一つと強調している。

 傾斜は仕様では35度、実際には40度以上にも対応できる。これも電動ならではの利点とし、エンジンを使った場合には、一定以上の傾斜では燃料の供給に支障を来たすことが多く、こうした傾斜には対応できない場合が多いという。

 自動走行を採用する構想もあったが、その場合、価格が4倍程度高くなるため、費用対効果に優れた販売価格を実現できず、採用を見送った。

 販売価格は、フル装備の場合で200万円に設定している。価格の大半は蓄電池で、メーカーの希望小売価格が30万円の蓄電池を標準で2個、予備を1個追加することを推奨しているので、それを含めた90万円を蓄電池が占める。

 蓄電池は、カナダメーカー製のLiイオン蓄電池を採用した。当初、国内メーカー製を採用することも検討したが、ササキコーポレーションが求める仕様の製品が存在せず、最終的に現在、搭載している製品を採用した。

 1個の蓄電池で、最低でも1時間は稼働する設計とした。その1時間で、面積840m2の草刈りを可能とし、搭載している2個で2時間稼働し、1680m2の草刈りを実現する。

 予備の蓄電池を1個追加することを推奨しているのは、常に満充電された蓄電池を2個搭載し続けるローテーションを実現できるためである。最初の1時間の作業を追えた時点で、使用済みの1個と交換する。これによって、あと2時間稼働できる。この間、降ろした蓄電池を2時間かけて満充電まで充電する。

 走行ユニットの寸法は全長約1mで、その前方に草刈り用のアタッチメントを装着する。小回りが利き、直径2mの範囲内で旋回する。

 クローラーを使って走行し、スリップや横ズレなどが生じにくい。この走行性、安定性、作業性などは、農業用の草刈機メーカーとしての「こだわり」としている。

 太陽光発電所向けに開発した製品だが、発売してみると、他の分野や用途に幅広く応用できることがわかってきた。果樹園での草刈りや集荷物の運搬、製鉄所におけるコンベア脇に落ちたコークスの回収などで、電動の特徴を生かしたさまざまな要求が届いているという(図4動画2)。

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図4●果樹園での活用例
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図4●果樹園での活用例
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図4●果樹園での活用例
(出所:ササキコーポレーション)

動画2●運搬、除雪などリモコン型草刈機の応用(出所:ササキコーポレーション)

 草刈以外の用途に使う場合は、前方に取り付けている草刈用のアタッチメントを外し、用途に合わせた別のアタッチメントを取り付ける。

 ここにも電動の利点があるという。エンジンを動力としている場合、用途が変われば、ギアを組み替えたり、さまざまな変更や調整が必要になる。一方、電動の場合、モーターの仕様さえ合えば、何も変更せずに転用できる。

 メンテナンスは、草刈用アタッチメントが備える回転刃の交換などがある。また、モーターの使用状況次第で、3~4年おきにブラシやホイールの交換が必要になることがある。また、蓄電池の特性上、冬など草刈りをしていない時期でも、自然に放電しているために蓄電池を時々充電してほしいとしている。