ヒューズ切れによるストリング遮断をその場で復旧

 ドローンを使った太陽光パネルの点検は、メンテナンスサービスの年間契約先の一部のほか、年間契約先以外の顧客からの依頼に対応している。

 ドローンを使った赤外線カメラによる空撮でパネルの熱分布画像を撮影し、この画像から、不具合を生じている可能性の高いパネルを特定し、報告する(動画1)。

動画1●赤外線カメラの空撮画像の例
今回の甲信地方のメガソーラーとは異なる発電所における例(出所:エネテク)

 同社の場合、ドローンの飛行や撮影の従事者は、太陽光発電所のO&Mサービスの担当者でもある。

 このため、その場でさらにパネルなどを点検し、原因を分析するだけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消できる。その場で不具合を解消できれば、売電ロスをいち早く解消できる。こうした解決に向けた迅速な対応が強みとなっている。

 甲信地方にある出力約3MWのメガソーラーにおけるドローン点検では、31カ所の不具合を発見し、そのうちその場で解消したものが3カ所あった。

 その場で解消した不具合は、いずれも接続箱内のヒューズ切れによるものだった。

 IEC(国際電気標準会議)規格による太陽光発電所では、太陽光パネルへの逆流防止にダイオードを使わず、パネル側で逆流電流から保護する仕様になっている。そして、短絡事故時に発生する過電流の逆流を確実に遮断するため、接続箱のストリング(太陽光パネルを直列・並列に接続する単位)の入力側にヒューズを採用している。

 ヒューズの切れたストリングは、入力部までは発電電力が流れてくるが、回路が遮断されているため、その先に発電電力が流れず、すべてロスになってしまう。

 今回のドローンによる点検には、発電事業者も立ち会っていた。このため、エネテクでは、3カ所のヒューズ切れについて、その場で発電事業者に説明し、承認を得たうえで、ヒューズを交換して送電を復旧させた。

 こうしたストリング単位での不具合への対応は、ドローンならではの利点の一つとなっている。ヒューズ切れのほかに、定期点検時に、開閉器を戻し忘れるといった原因でも、同じようにストリング単位で送電が遮断されたままとなる。

 ストリング単位の不具合は、ドローンで撮影すると、ストリングを構成するすべての太陽光パネルが過剰に高い熱分布を示すことから、一目でわかる。歩いて赤外線カメラで撮影する方法では、広範囲のパネルを比較できないため、発見しにくいという。