刈高は17cmまで、太陽光発電所に向く仕様

 同社の乗用型の主力機「家族(うち)のまさお」は、メガソーラーの現地取材で頻繁に見かける機種となっている(福岡県みやま市のメガソーラーの例)。太陽光発電向けで最も多く採用されている乗用型草刈機の一つと見られる。

 耐久性や作業性の良さだけでなく、太陽光発電所の除草に向く利点を元々備えていたり、太陽光発電所での使用を意識した工夫を盛り込んだことも奏功したと見られる。

 例えば、雑草を刈るための回転刃は、高さを最大17cmまで上げられる。一般的な乗用型草刈機は、ここまで高く上げられない。回転刃の位置が高いほど、地面にある石を巻き込んで周囲に飛ばしてしまうリスクを減らせる。これは、従来の農業向けにはない要件といえる。

 小型の車体ながら、回転刃の高さを0~17cmまで上下させて刈れるのは、スクリューによる「シャフト駆動機構」を採用したためである。

 また、最大で30度の傾斜面でも安定して稼働できる(図2、動画2)。一般的な乗用型草刈機の場合、対応できる傾斜は15~20度の場合が多い。急な斜面に生えた背丈の高い草を、昇り降りしながら手際よく刈り取れる。

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図2、動画2●ゴルフ場跡ならではの斜面でも軽快に刈り込む
茨城県のゴルフ場跡地のメガソーラーにおける実演の様子。刈らない時には最高で時速約14km、刈る時には時速約8kmで走行できる(出所:日経BP)

 太陽光発電所での利用を想定した仕様もある。例えば、耐久性の向上の一環で、車体を覆うカバーを、従来の樹脂製から金属製に変えた。これは、果樹園に比べて、太陽光発電所では5倍程度多く使われることを意識したものという。

 従来機のカバーが樹脂製だったのは、果樹園では、果樹の枝や果実に触れてしまった場合に、枝や果実を傷つけないようにするためだった。

 また、太陽光発電所では、人の背よりも高い雑草を刈ることもある。そこで、車体の前方に備える刈り込み口の間口を広くした上、刈り込み口に押し込めるような構造とした。これによって、背の高い草や密集した草を倒しながら、効率よく回転刃に巻き込める。こうした密集した草を効率的に刈る目的で、従来機の22馬力から25馬力に上げている。

 太陽光発電所での使用では、粉塵が多くなる。この粉塵が、エンジンの焼きつきにつながる恐れがあるため、エンジンにサイクロン式のエアクリーナーを追加した。

 また、一般の公道を走れるようにした。果樹園などでの利用では、敷地外に出ることはないが、太陽光発電所は道路をまたぐ配置となっていたり、近隣で複数の発電所を運営していることもある。こうした状況に対応した。