現地での実演を繰り返し、開発に生かす
筑水キャニコムが乗用型草刈機を開発しはじめた1990年代中頃は、主に果樹園で使われることを想定していた。果樹園における除草の傾向が変わり、草刈りの需要が変わってきたことに対応して開発した。
雑草を除去しきってしまうような管理ではなく、一定の草高以下にしながら生やしておく方式が主流になってきた。土地の保水性を維持して周囲への土埃の飛散を防ぎつつ、緑の景観を保てる利点があるからである。
当時は、芝刈機を使ってこうした雑草の管理も試みられていたが、雑草は芝よりも強いために故障も多く、また、車体が高いために果樹園の棚や果樹にぶつかりやすい問題があった。
そこで、同社は、小型で車体が低く、かつ、雑草を強力に刈ることができる機器として、4輪駆動の乗用型草刈機を開発した。果樹園には、地面に起伏が多く、斜面も多い。そうした不安定な地面でも安定して走るには4輪駆動が適している。
ただし、販売価格は高くなった。従来使われていた草刈機の約60万円に対し、約100万円となった。そこで、農家に受け入れられるかどうかを見極める一方で、こうした価格でも安いと感じてもらえるような、新たな市場を開拓することにした。農業向けだけでは、需要が先細りする恐れもあった。
スキー場や弾薬庫、公園、学校などの管理を担う造園会社や、レンタル会社などに販路を拡大し、販売台数を増やしていった。
太陽光発電向けには、2012年7月に初めて納入した。九州で多くの太陽光発電所を運営している企業から紹介された、O&Mの委託先企業だった。この企業は、いかに雑草に悩まされているのかを打ち明け、最初の1台を納入後、随時買い増ししていった。この納入を機に、本格的に太陽光発電向けに営業を始めた。