太陽光発電所のO&M(運用・保守)で、最近、需要が増えているのが、太陽光パネルの洗浄である(図1)。土埃などが太陽光パネルに積もり続けると、発電量が減る。この発電損失を解消し、本来得られる発電量に近づける目的で実施される。

図1●洗浄前後の太陽光パネルの外観の差
図1●洗浄前後の太陽光パネルの外観の差
灰で全面が汚れていた屋根上の太陽光パネル。産業廃棄物工場の煙突の近くにある(出所:エネテク)
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 日本国内の地上設置型の太陽光発電所では、これまでパネルを洗わない場合が多かった。それは、日本ならではの環境や洗浄技術が影響していた。

 国内の発電所では、太陽光パネルは10度以上に傾けていることが多い。そして、だいたい週に一度は雨が降る。土埃などがパネルに溜まっても、雨が降った後には、ほとんど気にならない程度に汚れは流れ落ちる。

 例外的に太陽光パネルを洗浄してきたのは、農地や畜舎、特定の種類の工場などの近くにあり、土埃や塵灰などが過剰に、しかも頻繁に積もる発電所だった。放置しておくとパネル表面が見えにくくなり、汚れによって失う発電量が無視できないほど大きい。

 土埃や塵灰が多い場所以外でも、まれに、パネルを洗う発電所もあった。費用をかけてでも、雨水では落ちにくい汚れまですっきり落とし、発電損失となる要素を最小化したいと考える発電事業者だった。

 雨水でほとんど汚れは流れ落ちるといっても、厳密には、フレームの縁は、フレームとカバーガラス間の段差によって汚れが残りやすい(図2)。また、鳥のフンが固着して落ちにくいことがある。こうした汚れを落とすために洗浄する場合もある。

図2●フレームの縁付近に土埃が溜まった例
図2●フレームの縁付近に土埃が溜まった例
山梨県にあるメガソーラーの例。カバーガラスとの段差に溜まりやすい(出所:日経BP)
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