PR

熱音響システムの産業への応用

 熱音響現象の産業への応用研究は、米ロスアラモス研究所のSwiftらのグループが20世紀後半に盛んに行い、音波クーラー、音波エンジンなどを開発。天然ガス液化プロジェクトでは、天然ガスを燃焼した熱で熱音響システムを稼働、天然ガスを冷却して液化するシステムを構築した。また、ユタ大のSymcoはこれを手のひらサイズに小型化する研究を進め、オランダのエネルギー研究センターは、熱音響を用いた廃熱によるヒートポンプを研究してきた。

 熱音響現象実用化への課題は変換効率の向上である。1998年に愛知教育大学の矢崎太一教授らによる、進行波成分を用いるループ形状の音響管が飛躍的に効率を改善した。日本でも実用化に向けた研究が盛んになった。東北大学の琵琶哲志教授、東京農工大学の上田祐樹准教授らは、ループ管による熱音響エンジンから枝管で直線管に音波を導いて音波クーラーを実現。東海大学の長谷川真也講師は、複数エンジンを多段に直列接続したダブルループ管と約10気圧のヘリウムガスで-115℃を実現した。滋賀県立大学の坂本眞一准教授、同志社大学の渡辺好章教授らは、シングルループ管で大規模化を目指している。

 熱音響現象を利用したアプリケーションは、冷却システム、発電システム、熱輸送などが考えられ、実用化に向け研究が盛んである。日本音響学会では、最近10年ほどで急激に発表件数が増加しており、国際会議等でも熱音響に関するセッションができている。