6つの事情を総合的に考慮

 では、「発電量を著しく減少させるなど、その侵害の程度が強度といえるような場合」とは、どのようなケースでしょうか?

 福岡地裁判決は、(1)所与の目的は果たせているか、(2)発電量の減少は、被告の帰責事由に基づくものか、という2つの見地より不法行為該当性を検討しています。

 本来、法律の規制の範囲内では所有権の範囲内で土地や建物を自由に建築できるのが原則であるため(憲法29条1項、2項)、建物を建築する行為は適法であるのが原則であり、当該建物の隣地に設置されていた太陽光発電システムに太陽光が当たらなくなり、発電量が著しく減少したとしても、直ちに違法となるものではありません。

 人が社会を形成して生活を営んでいる以上、互いに何らかの迷惑を掛けあって生きているものであり、一定の範囲内で、互いに受ける迷惑・被害を受忍しあう必要があります。

 もっとも、その程度が著しいときに限っては、これを違法とし、相互の利益を調整することになるのであり、この所有権の行使の結果が、他人の権利を侵害していると評価できるかどうかについては、「受忍限度」という考え方により適法性が判断することとなります。

 既存の日照権保護で考慮される要素にも鑑み、概ね以下の事情を総合考慮することにより、違法性の有無を判断することができるのではないかというのが、当事務所が採用していた考え方でした。

匠総合法律事務所が採用している判断の項目
匠総合法律事務所が採用している判断の項目
(出所:匠総合法律事務所)
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 福岡地裁判決は、上記ウ・太陽光発電システムの設置位置(被害回避可能性)及びエ・加害建物の建築の合理性(加害回避可能性)につき、被告の帰責事由に基づくものかについて検討をしているものであり、比較考量の思考過程が参考になります。

 さて、福岡地裁判決の内容を見てみましょう。