「排水施設の不備」で瑕疵を認めた判決も

 まず、新潟地方裁判所長岡支部(平成23年12月7日判決)が、本件崖崩れは,「同日の記録的な量の降雨を原因として発生したものといわざるを得ない」と判示しています。この判例の事案では、降り始めからの総降水量は427㎜という大雨であり、不可抗力として認められる雨量の基準になろうかと思います。

 次に、東京地裁(平成8年9月27日判決)が、「本件丘陵部分に何らかの土留め設備が設けられていれば本件崩落事故は生じなかった、との可能性を否定し去ることはできない」と判示している部分も注目に値します。

 東京地裁(平成8年9月27日判決)の事案では、「本件丘陵部分は傾斜地であるにもかかわらず、これに接して駐車場が設けられていた」ことから、上記土留め設備の設置の必要性を判示しているものですが、太陽光発電所においても、例えば、法面に太陽光パネルを設置した場合、大雨による法面崩壊が起きれば、法面下方の道路や住宅、隣地に影響を及ぼす可能性がある訳ですから、崩壊リスクのある法面に太陽光パネルを設置する場合には、法面崩壊防止措置を講じておくべき義務があると開発業者や施工業者に債務不履行責任が認められる余地が、判例上無いとも限らないわけです。

 また、津地裁(昭和52年3月24日判決)は、「農道が本件事故の約1年3か月前に開設されたこと、右のような農道を設置することは、斜面の安定上好ましくないとされていることが認められ、加えて、側溝設備の不完全等があいまって本件災害が発生した」と判示し、「本件事故が予測不可能な、不可抗力によるものであるとはいい難い。その他、本件事故が一般の科学技術水準に照らし予測不可能あるいは回避不可能であったことを確認させるに足りる証拠はない」として、事故は側溝等の排水施設の不備、不完全に基づくものであるとして、右道路の設置管理の瑕疵を認めた判決を書いています。

 太陽光発電所における側溝等の排水施設に不備がないか、という視点も、もう一度検証したいところです。