匿名組合員に対し、AMは損害賠償義務を負わない

 匿名組合の方式により出資が行われ、営業者により太陽光発電所が運営されている場合、自然災害などで発電能力の低減が発生した場合、結局、損失を被るのは、配当を受け取る匿名組合員です。

 その結果、匿名組合員は、AMに対して発生した損害を賠償することが出来るか、が問題となります。

 「匿名組合」(商法535条以下)とは、当事者の一方が、相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約する契約をいいます。匿名組合は、匿名組合員と営業者との間の契約であり、匿名組合員は、営業者に対する契約上の債権者にすぎず、営業者の取引先とは何らの法律関係はなく、責任を負担することはありません(商法536条4項)。

 民法91条は、「法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。」と規定しており、当事者の意思表示は任意規定に優先するものの、その反面、強行規定に反する意思表示は無効であると規定しています。

 商法536条4項が定める「匿名組合員は、営業者の行為について、第三者に対して権利及び義務を有しない。」という規定は、匿名組合員が営業者に出資をし、その経営の一切を営業者に委ね、組合員はその利益配分を受け取るのみであること、および匿名組合員の匿名性という匿名組合契約の本質的事項に関するものであるから、当事者の意思で変更することができない強行規定であると考えられます。

 裁判例も「商法における匿名組合に関する規定中、匿名組合員からの出資は営業者に帰属すること(同法536条1項)、匿名組合以外の第三者に対しては、営業者のみが代表者であること(同法536条2項・現536条4項)である。542条、156条などは強行規定であり、それに反する合意は無効である。」と判示しています(東京高裁平成19年6月28日判決)。

 以上により、たとえ、AMから匿名組合員に対し、アセットマネジメント契約違反により匿名組合員に発生した損害を賠償する旨の合意が成立していたとしても、当該合意は無効となります。