「事務管理」は成立するか?

 申請者と土地所有者には契約関係がない場合、申請者が費用を請求する根拠は、事務管理に基づく費用償還請求権(民法702条)または不当利得に基づく利得金返還請求権(同703条)となります。ここでは、事務管理について検討します。

 法律上の義務がない者が好意的に他人のためにその事務の管理を始めることを「事務管理」といいます。

 事務管理の当事者間の関係について、民法は相互扶助の観点から、管理者が管理を始めた場合には原則として事務の性質に従って最も本人の利益になる方法で本人が管理できるようになるまで管理を継続する義務(700条本文)などを定め、その一方で本人に対しては管理者に対して有益な費用を償還する義務(702条1項)などを定めています。

 民法上の事務管理の成立要件については697条1項に規定されています。

民法上の事務管理の成立要件(697条1項)
民法上の事務管理の成立要件(697条1項)
(出所:筆者の資料を基に日経BP作成)
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 土地所有者に無断で太陽光発電業者が設備認定を取得する行為は、事務管理の成立要件である「3.管理者が本人のためにする意思をもっていること」の要件を満たさないため、事務管理は成立しません。

 また、土地所有者にとっては害でしかない他人による違法な申請は、「4.管理者による管理が本人の意思又は利益に適合したものであること」の要件も満たしません。

 従って、太陽光発電業者が仮に土地所有者に対して事務管理に基づく費用償還を請求しても、同請求は認められないこととなります。