「念書」や「確認書」の効果は?

 同居配偶者や近親者に能力証明の「念書」や「確認書」をもらうというのはどうでしょうか? これは、あまりお勧めしません。

 なぜなら、同居配偶者や近親者が、本人に事理弁識能力がないことを知っていながら、能力証明の「念書」や「確認書」を提出する行為は、同居配偶者や近親者に不法行為責任が成立するリスクがあり、家族を損害賠償リスクに巻き込むことになるからです。

 東京高等裁判所・平成14年3月28日判決では、「被控訴人花子は、単に亡太郎の署名を代行するにとどまらず、本件確認書を作成し、これを控訴人担当者に交付しているのである。そして、本件確認書の内容によれば、被控訴人花子は、控訴人担当者から亡太郎の判断力について確認を求められたことから、本件確認書を作成することになったと認識していたと推認することができ、これによれば、被控訴人花子は、控訴人に対し、自らの認識と異なり、積極的に、亡太郎の判断力が存在するとの虚偽の内容を明らかにしたものということができる。したがって、所沢支店貸付分に係る被控訴人花子の前記行為は、控訴人に対する違法行為ということができる。」と判示し、妻による確認書作成により、事理弁識能力が存在すると偽った行為について不法行為責任の成立を認めました。

「成年後見制度」を積極活用

 成年後見も、保佐も補助も、精神的能力が衰えた高齢者をサポートする制度であり、高齢化社会の現状、恥ずかしがったり、面倒に思ったりせず、どんどん活用すべきと考えます(図4)。

図4●「法定後見」開始までの大まかな流れ
図4●「法定後見」開始までの大まかな流れ
(出所:法務省民事局)
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 また、遺産分割の現場でも、介護が必要な兄弟に安心してお金を渡し、家庭裁判所による監督下、財産管理をしてもらうための手段として補助の申し立てを検討するケースもあります。

 取引の相手方に迷惑をかけず、安心して不動産取引をするための手段として、あわせて、生命がある限り、サポートを受けるための制度として、成年後見、保佐、補助の制度の活用をお勧めしたいと思います。

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