FIT終了後は、太陽光と蓄電池で自家消費
実は、三友エレクトリックでは、蓄電池システムに先駆け、本社工場の敷地内に今春、350kWの太陽光発電設備を設置した。固定価格買取制度(FIT)を活用したことから、現在は、関西電力の高圧送電線に連系し、全量売電している。
だが、「買取期間が終わった20年後に電力会社と契約できる買取価格が購入電力のより低ければ、自家消費の方が経済的に有利になる。その際、蓄電池に充電して自家消費率を高めることも検討したい」と、三友エレクトリックの杉島栄一社長は言う(図4、図5)。
同社の場合、購入電力は16~17円台/kWhと、価格競争が進んだ大手企業の大工場向け電力に比べると割高になっている。減価償却の済んだ太陽光発電設備を自家消費する利点は大きい。その際、電力システム改革の進展で、「蓄電池アグリゲータ」や「VPP」などのサービス事業者が登場していれば、蓄電池を貸すことで、さらに事業性が増すことになる。
今回、導入した200kWhの「TMBCS」は、500kWのPCSを搭載しているため、今後、蓄電池を巡る事業環境が整えば、増設することも想定しているという。
「近い将来、太陽光と蓄電池はセットで普及する可能性が高い。経営コストを下げつつ、災害時にはBCPや地域への電力供給にも貢献できるようなエネルギーシステムを国全体で模索することになる。先進的に太陽光と蓄電池を導入し、工場内のEMS(エネルギー管理システム)を独自に開発することで、EMS(電子機器製造受託サービス)企業としても技術やノウハウを蓄積していきたい」と杉島社長は言う。