「FBCS」がセルを監視し、最適に充放電
TMEICは、蓄電池を活用した新たなビジネスモデルを提案するとともに、蓄電池の制御手法でも、独自のノウハウを蓄積している。同社は、蓄電池評価用の「TMBCS」を、長崎県にある三菱電機の工場の一角を借りて設置し、採用する電池を評価している(図6)。
「TMBCS」と書かれた、40フィートコンテナに入ると、長さ12mもの空間に設備装置がぎっしり詰まっている。500kWのPCSが手前に置かれ、その次に複数企業の蓄電池制御盤、一番奥に「FBCS盤」と書かれた制御装置が設置されている。
FBCSとは、「Front Battery Control System」の略。蓄電池盤とPCSを管理するTMBCSの頭脳とも言えるものだ。
蓄電池システムの基本的な原理は、蓄電池の充放電する直流をPCSで交直変換し、変圧器を通じて連系する。蓄電池セル(電池素子)のSOC(残容量)などの状態は、蓄電池メーカーの支給したBMU(Battery Management Unit:電池管理装置)が監視し、過電圧など深刻な異常事態が発生した蓄電池を回路から解列させる。
FBCSは、BMUとは別に電池セルを個別に監視し、充放電を最適に制御する。例えば、一部のセルに異常事態の発生する兆候を感知した場合、PCSに指令を出し、該当するセルに充電しないようにする。事故リスクを減らすだけでなく、セルへの負荷低減によってシステム全体の長寿命化にもつながるという(図7)。
「BMUは、安全面での最後の砦として重要だが、監視するだけで、制御機能はない。FBCSでセルを監視しつつ、PCSで充放電制御することで初めて、システム全体の安定的な運用や劣化の抑制などが実現できる」と、TMEIC・産業第三システム事業部の杉山正幸上席マーケティング部長は強調する。