蓄電池メーカーからの情報だけでは不十分
設置した蓄電池評価用の「TMBCS」では、「バック to バック 試験」と呼ばれる方法で、試験対象とする蓄電池を評価している。A系統とB系統の同じシステムを装備し、A設備が放電する場合はB設備に充電、逆にB設備が放電する時はA設備に充電する。こうして一度、電力会社の系統から充電した電気を往復させることで、様々な充放電パターンでの評価試験が繰り返し行える(図8、図9)。
主な評価項目には、連続充放電時の温度上昇や電圧特性を確認する「温度特性試験」、基本的な充電性能を確認する「CC-CV(定電流・定電圧)試験」、CC-CV充電で満充電にした後、下限電圧まで放電して容量を確認する「容量試験」、試験中にセル電圧のアンバランスを確認する「セルアンバランス確認」などがある。
杉山上席マーケティング部長は、「蓄電池メーカーは、通常、セル単体の評価試験データしか提供してくれない。システムとして安定運用するには、連続充放電による温度特性やセル電圧のバラツキなど、蓄電池盤としての実機評価は必須」と話す。
TMEICでは、蓄電池メーカーではない利点を生かし、複数メーカーの蓄電池でシステム構成を可能にしている。東芝製の「SCiB」のほか、新神戸電機製、サムスンSDI製、LG化学製の蓄電池でこうした評価試験を終えており、その他の電池メーカーとの構成についても実証試験を継続している。