EMSが再エネと火力を最適制御

 PCSに対して充放電の指令を出すのが、ハイブリッド蓄電池システムの頭脳とも言えるEMS(エネルギー管理システム)だ。EMSは、メガソーラーや風力、2カ所の火力発電所と通信ネットワークで結ばれている(図9)。

図9●西ノ島変電所にあるEMS(エネルギー管理システム)のコンピュータ
図9●西ノ島変電所にあるEMS(エネルギー管理システム)のコンピュータ
(出所:日経BP)
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 中国電力は、隠岐諸島の火力発電所にAPC(プラント自動制御装置)を導入しており、無人での稼働を実現していた。ディーゼル発電機はAFC(自動周波数制御)運転を基本に運用しており、系統の周波数を監視しながら、60Hzを基準に±0.3Hzの偏差に収まるように自律的に出力制御している。

 今回導入したEMSは、隠岐諸島全体の電力需要と再エネの発電量を予測しつつ、火力発電のAPCと連係し、周波数変動の抑制と需給バランスの改善に必要な出力調整量を、ディーゼル発電機と蓄電池に最適に配分して、指令を出すことになる。

 具体的には、メガソーラーと風力の発電出力のデータをリアルタイムで収集し、それらの合計出力の短周期変動分を相殺するようにLiイオン電池のPCSに充放電制御の指令を出す。一方、NAS電池のPCSに対しては、島全体の電力需要と再エネの発電量を予測し、太陽光の発電量分を充電し、夜間に放電するパターンを基本に充放電指令を出す。

 ハイブリッド蓄電池システムを設置した西ノ島変電所の入り口には、Liイオン電池とNAS電池の充電量がリアルタイムに表示されている。取材で同変電所を訪れた正午近くにそれを見ると、Liイオン電池の充電量は小刻みに増減を繰り返している一方、NAS電池は、一貫して充電量が増えていた。

 再エネの短周期変動に小刻みに対応するLiイオン電池と、数時間おきに充電と放電を繰り返すNAS電池の入出力は、合成されて1点で連系している。充電指令と放電指令が同時に出された場合、連系点で見ると相殺されて、差分が入出力されることになる。