産業用蓄電システムは日本でも実績
産業用の「パワーパック」は、セルを束ねたモジュールまでは住宅用と同じものを使っている。モジュール1つの容量は約200kWhで、これを連結することで、制限なく容量を増やせる。GWh規模になっても、同じ手法で蓄電システムを構成できるという(図7)。

「パワーパック」は、さまざまな用途で実績があると公表した。電力需要のピークカット、停電時のバックアップ、太陽光発電電力の出力変動対策、デマンドレスポンス(DR)などである(バックアップを主目的とした関連ニュース2、同ニュース3)。
米国や豪州などで導入が先行している。日本でも2017年から販売をはじめ、すでに6カ所の実績があることを明らかにした。
日本では、このほかにも受注しており、年末に向けてさらに納入実績が増えるという。
ケルティ氏は、米国での導入事例として、カリフォルニア州南部で電力需要家が、容量約400kWhのシステムを採用した例を紹介した。電気料金が高い需要ピーク時の電力購入量を減らす用途で、導入後は月平均で電気利用料の支払額が約23%減る効果があった。
また、米ハワイ州の離島のマイクログリッドにおける採用例も紹介した(関連ニュース4、同ニュース5)。離島では、ディーゼル発電によるマイクログリッドが多く、輸入する石油や天然ガスへの依存度が高くなる。太陽光発電と蓄電システムの組み合わせにより、燃料費が不要になり、かつ、安定供給が可能な電源によるマイクログリッドを実現できる。
日本も離島が多く、この用途の需要を開拓したいとした。
カリフォルニア州南部における、再エネの出力変動抑制向けの例も紹介した。電力会社が導入した、現時点で世界最大の蓄電システムとする。2016年7月に見積もり依頼があり、同9月に採用が決定、同12月末までの約3カ月間という短期間で供給できたという。
太陽光発電などの再エネを受け入れる送電線の空き容量不足や、出力変動の吸収による系統電力の信頼性向上などを実現する用途で、日本では北海道と九州の離島が、すでにこの事例と同じ課題を抱えており、テスラが日本で開拓していく分野とした(図8)。
