東北電力の電線と自営線が“並走”

 自営線は、公営住宅エリア内のほか、4つの病院と公共施設まで敷かれている。公営住宅エリアの外は、東北電力が電力を供給しているため、病院や公共施設に向かう自営線は、東北電力の配電線と道を隔てて並走する形になっている(図11)。また、仙石病院につながる自営線は、電柱の設置スペースが十分に確保できなかったこともあり、道路下に埋設した地中配管を通じて送電している(図12)。

図11●自営線(左)と東北電力の電柱(右)が向かい合う(出所:日経BP)
図11●自営線(左)と東北電力の電柱(右)が向かい合う(出所:日経BP)
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図12●仙石病院に向かう自営線は地中ケーブルを採用(出所:日経BP)
図12●仙石病院に向かう自営線は地中ケーブルを採用(出所:日経BP)
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 こうした自営線を使った電力供給事業は、災害時のレジリエンス性向上という点では、優位性があるものの、敷設コストを考慮すると、事業性の確保が難しいと言われる。減価償却の進んだ配電網を持つ一般電気事業者に比べると、配電網を新設して電力を供給する自営線PPSは、短期的には供給コストが割高になってしまう。

 災害時の自立性の高さから自営線PPSに魅力を感じる自治体や事業者が多いものの、導入例がほとんどないのは、事業性確保の壁が高いからだ。

 「東松島市スマート防災エコタウン」の総事業費は約5億円。環境省の「自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業」に採択され、そのうち4分の3を補助金で賄った。「高い補助率で国から支援を受けたこ とで初めて、電力小売事業として競争力を確保できた」(東松島市復興政策課)というのが実態だ。