風力でも蓄電池併設型にニーズ

――実際に系統側蓄電池への負担金でなく、独自に風力併設型蓄電池の設置を検討している事業者はいますか。

TMEIC・産業第三システム事業部の木暮洋・副事業部長
TMEIC・産業第三システム事業部の木暮洋・副事業部長
(撮影:清水盟貴)

木暮 すでに風力開発事業者との間で、「併設型」を前提に商談を進めています。蓄電池のコストが高い場合、複数の発電事業者で系統側蓄電池のコストを出し合う方が、費用対効果で優位性がありました。だが、ここにきて蓄電池の価格が大幅に下がってきたことで、個別設置でも収益性が確保できる見込みが出てきました。

 北電の第1期の新規風力連系枠に漏れた案件が2GW近くあることを考えると、こうした発電事業者が、今後「蓄電池併設型」によって、風力事業に乗り出す可能性もあります。

――北電は、風力の新規連系枠に伴う蓄電池では、どんな充放電制御を求めていますか。

TMEIC・産業第三システム事業部の杉山正幸・上席マーケティング部長
TMEIC・産業第三システム事業部の杉山正幸・上席マーケティング部長
(撮影:清水盟貴)

杉山 「メガソーラー併設型蓄電池」が専ら「短周期変動対策」が目的になっているのに対し、風力の新規枠に対応する蓄電池に関しては、「長周期変動対策」の要素も入っています。その意味では、瞬時瞬時のリアルタイム制御と、時間単位の制御の両方が必要で、運用はより複雑化します。

 TMEICでは、すでにこうした北電の求める出力平準化の水準を想定しつつ、設置容量を最適化する蓄電池システムを提案しています。具体的には、風力発電のサイトデータからシミュレーションを行い、出力抑制率や逸脱日を最小化しつつ、北電の試算値よりも約40%少ない蓄電池容量で、求める平準化レベルを達成します。

――搭載する蓄電池は、東芝製以外にも選択できすか。

杉山 蓄電池メーカーではない利点を生かし、複数メーカーの蓄電池を実証済みです。現在、東芝製「SCiB」のほか、日立化成製、サムスンSDI製、LG化学製の蓄電池でシステム構成できます。その他の電池メーカーについても、長崎県にある蓄電池システムの研究拠点で、実証試験を継続しています(図2)。

図2●長崎県にあるTMEICによる蓄電池システムの検証施設
図2●長崎県にあるTMEICによる蓄電池システムの検証施設
(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 すべての蓄電池の状態を監視して、電池の特性に合わせて、充放電量の制御とインターロック(安全制御)を行う「FBCS(フロント・バッテリー・コントロール・システム)」と呼ぶ装置を組み込んで、蓄電池メーカーを特定せずに安全に蓄電池を制御できることが特徴です。