周波数偏差は0.1Hz以下に縮小

 そこで、壱岐島の蓄電池実証では、まず、ディーゼル発電機が追従し切れない事態の発生状況を分析し、それを補うのに最も効果的な蓄電池の充放電制御の手法を探った。シミュレーションを繰り返しながら、最も効果的な制御回路を構築したという。

 系統に接続した蓄電池の充放電制御は、周波数の変動を指標にすることが多い。加えて、壱岐島の実証では、再エネの出力変動を反映しやすい2万2000Vの上位系統の潮流(有効電力変動)も監視し、周波数変動と合わせて充放電制御に使っている。

 こうした指標の検出には、伝送の遅れや障害リスクが課題になる。そこで、周波数の観測点を蓄電池の近傍に設定したり、高速型の検出器を採用したりして、対応した。

 その結果、下のグラフのように蓄電池による周波数変動の抑制効果をはっきりと確認できた(図7)。16時35分頃から約10分間、蓄電池を充放電したことで、変動幅は最大約0.2Hzから最大0.086Hzに小さくなった。

図7●蓄電池の充放電で周波数が安定した例(出所:九州電力)
図7●蓄電池の充放電で周波数が安定した例(出所:九州電力)
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 この間の周波数変動は、主に1.5MWの風力発電の出力が数分間に数百kWの幅で変動したことに起因していた。蓄電池の制御は、風力発電設備の出力変動を直接、観測・連動していないが、結果的に風力の出力変動を打ち消す分の電力を充放電する形になり、周波数変動を抑制することに成功した。電力系統に一括して設置する蓄電池の運用ノウハウは、着実に蓄積されてきた。

 今後の課題は、蓄電池の劣化によって、出力の容量や応答性にどのような影響が出てくるかという点だ。年に1回の割合で容量試験を行って、状況を確認しているという。