「薩摩川内市モデル」を全国に展開

 こうした事情は、ほかの離島でも共通している。そこで九電は、太陽光・風力の接続申し込みの多い4離島には、国の補助金を利用して大型蓄電池を実証的に導入した。それぞれの出力は、壱岐島(長崎県)・4000kW、対馬島(長崎県)・3500kW、種子島(鹿児島県)・3000kW、奄美大島(鹿児島県)・2000kWとなっている(関連記事)。

 甑島では、こうした九電による大型蓄電池の導入計画がないこともあり、自治体と企業が主体となって、再エネの導入拡大に向け、大型蓄電池の設置を進めることになった(図4)。総事業費は6.5億円で、薩摩川内市が約1.5億円を負担し、残り5億円については、住友商事が環境省の補助金(離島の低炭素地域づくり推進事業)を活用して設備を導入した。

図4●薩摩川内市長などが参加し完成披露式が開かれた(出所:日経BP)
図4●薩摩川内市長などが参加し完成披露式が開かれた(出所:日経BP)
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 「EVの蓄電池を回収し、電力系統に接続して再エネの導入を拡大するという取り組みは、自治体が進める次世代エネルギーによる街づくりを具体化することになる。『薩摩川内市モデル』として、再エネの導入拡大を目指す全国の自治体に広めていきたい」。11月19日に開かれた完成披露式で、薩摩川内市の岩切秀雄市長は期待を示した。

 太陽光・風力の出力変動による電力系統への負荷を蓄電池で緩和する場合、それを事業として立ち上げるには大きく2つの課題がある。1つは、蓄電池の価格が高く、事業性の確保が容易でないこと。2つ目は、電力会社以外の企業・団体が蓄電池だけを電力系統に接続し、再エネの出力変動などによる系統への負荷を緩和することは、現在の電気事業法上、想定されていないこと──。