電力会社以外で全国初の「系統蓄電池」

 こうした中古蓄電池によるシステムが、電力網に接続した「系統蓄電池」として安定的に運用でき、信頼性に問題ないかが、懸念材料になる。ただ、住友商事は、中古蓄電池の性能や品質に関し、すでにある程度、自信を持っている。

図6●大阪市此花区夢洲に建設した10MWのメガソーラー「大阪ひかりの森発電所」(出所:住友商事)
図6●大阪市此花区夢洲に建設した10MWのメガソーラー「大阪ひかりの森発電所」(出所:住友商事)
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 実は、住友商事は、甑島のプロジェクトに先駆け、2014年2月から大阪市此花区夢洲に建設した10MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「大阪ひかりの森発電所」に中古蓄電池(定格出力600kW、容量400kWh)を併設し、隣接する太陽光発電の出力変動の抑制に活用してきた(図6図7)。

図7●「大阪ひかりの森発電所」に併設した中古蓄電池(定格出力600kW、容量400kWh)を併設した(出所:住友商事)
図7●「大阪ひかりの森発電所」に併設した中古蓄電池(定格出力600kW、容量400kWh)を併設した(出所:住友商事)
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 その結果、「約2年間、再エネの出力変動抑制用として運用しても、中古蓄電池の劣化はほとんど見られない。急速な充放電制御の多いEVでの利用に比べると、系統蓄電池としての制御は緩やかなので、劣化の速度はかなり遅いことがわかってきた」と、住友商事・電池事業開発部 ドリーム・プロジェクトの藤田康弘部長代理は、自信をみせる。

 一方、2つ目の課題、「電力会社以外の企業が系統に蓄電池を接続して再エネの出力変動を緩和する事業が、現行法下で想定されていないこと」については、その事業モデルはまさに未知の分野だ。薩摩川内市も、今回の実証の目的の1つに「事業スキームの検討」を挙げている。

 これまでもメガソーラーや大型風力発電設備の出力変動を、併設した蓄電池で平滑化する取り組みはあった。九州の離島でも徳之島では、約2MWのメガソーラーに780kWhの蓄電池を併設している(関連記事)。ただ、今回の甑島のように大型蓄電池を単独で直接、送電線に連系し、系統内の太陽光・風力の出力変動対策に活用する「系統蓄電池」の設置は、電力会社以外では、国内初めてとなる。

 今回、甑島でそれが実現したのは、あくまで「実証」という位置づけであることに加え、自治体を主体にした地域振興事業としての意義を踏まえ、九州電力と緊密に連携して、事業モデルを探ることになった。