系統内に接続した再エネの出力変動にまとめて対応

 設備面での再エネ併設型蓄電池と系統蓄電池の基本的な違いは、送電線との連系点にある。再エネ併設型蓄電池の場合、連系点は1カ所で、再エネと蓄電池の合成出力を送電することになり、再エネの連系出力を超えられない。一方「甑島蓄電池センター」は、100kWの太陽光発電所と併設しているが、連系点は別々となる(図8)。蓄電池の出力は最大800kWなので、太陽光発電所の連系出力(100kW)を超えて送電できる。

図8●再エネ併設型蓄電池と「甑島蓄電センター」の系統連系方式の違い(出所:薩摩川内市)
図8●再エネ併設型蓄電池と「甑島蓄電センター」の系統連系方式の違い(出所:薩摩川内市)
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 再エネ事業者による蓄電池の設置は、再エネ発電設備と蓄電池を1:1に併設するやり方が主流だが、「甑島蓄電センター」は一つの蓄電池で、島内につながる複数の再エネを安定化する。より効率的に再エネを安定化することが可能になり、低コストで再エネ導入量の拡大が期待できる。

 また、事業モデルで見ると、再エネ併設型蓄電池はあくまで再エネ発電事業の付帯設備にすぎず、売電額が事業収入となる。蓄電池を設置したのは、発電事業用の発電設備を設置するための条件として、連系する電力会社から求められたからだ。

 これに対し、蓄電池だけを直接、系統に接続し、系統内のすべての再エネの出力変動を平滑化するために充放電制御する場合、一般的にその便益(系統電力の安定化)は、系統運用者が受ける。そのため、蓄電池の事業者は、系統運用者からサービス料を受け取ることで事業性を確保することになる。実は、こうした事業モデルは、「アンシラリーサービス」などと呼ばれ、発電と送電を分離している欧米では、すでに顕在化している。

 電力システム改革が進む日本においても、環境が整えば、このようなサービスについても検討可能になる。

 今後、「甑島蓄電センター」は、島内電力網を運用している九州電力があらかじめ定めた安定化条件に則って、風力・太陽光の出力変動に対応し、蓄電池の充放電制御することで、周波数の安定化や需給バランスの維持をサポートする試みを開始する。九電と協力しながら、制御に使う指標などを検討する。一般的には、島内の再エネ出力変動を直接、検出するのか、系統の周波数や有効電力を指標にするのかなど、複数の方式が考えられる。