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――仕掛学というのは、すべての人に効果が期待できるものではないということですね。

 はい。100人を対象にして1人にしか効果が見られないこともあります。でも、1人にしか効果がないから無駄というわけではないと考えています。

 最近、学内の食堂で昼食時の混雑を解消する実験を行いました。その食堂は、購入した食券をカウンターに置くと注文が発生するシステムです。しかし、食券を置いた人がその場で待つので、カウンター前が混雑して食券を置きに行きづらいという問題がありました。

 そこで、食券を置く台の手前に線と足跡マークを描きました。食券を置いた人にカウンターから少し離れた場所で待ってもらうためです。駅のホームでドアの位置を示すような印を使いました。その結果、食券を受け取ってからカウンターに置くまでの時間を3秒短縮することができました。

食堂に設置した仕掛け(写真提供:松村真宏氏)
食堂に設置した仕掛け(写真提供:松村真宏氏)
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 この仕掛けは設置する意味があるでしょうか。「たった3秒」と感じる人もいるかもしれません。こういうときに私は、費用や労力などのコストに対してそれに見合うだけの効果が得られるかという視点で考えます。線と足跡マークを描くという仕掛けは、すごく簡単にできるものです。それで3秒の改善が見込めるのなら、やる意味があると思っています。