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――重要な仕事であるにも関わらず、日本ではメディカルイラストレーターの存在がほとんど知られていない。なぜでしょう。

 欧米では事情がかなり違うんです。メディカルイラストレーターは100年以上の歴史を持つ、社会的に重要な仕事だと認識されている。専門の教育課程を持つ大学もあります。

 日本にはそうした環境がないこともあって、メディカルイラストレーターは数十人しかいません。他の分野との掛け持ちではなく、医療分野だけに特化しているイラストレーターは、私の知る限りではわずか数人です。多くは医学の専門教育を受けてこられた方ではないので、仕事をしながら猛勉強されていますね。

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 日本での認知度が低いのは、なぜなんでしょう。視覚から来る情報に高い価値があって、それに見合う対価を払うべきという意識が、日本では伝統的に薄いということは言えるかもしれません。

 医学の世界でも「美しく分かりやすいビジュアル」ということに関心が向いてこなかった。私が大学時代に使っていた医学書の解剖図も、モノクロで古めかしい感じで。あまり面白みがない。医学の専門書や雑誌でさえ、かなりいい加減な解剖図が載っていることは今でも少なくないです。