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 それでも最近は、日本の状況もかなり変わってきました。医学の世界で、ビジュアルの重要性が徐々に認識されるようになってきたんです。例えば医療機器メーカーが、プレゼンテーション資料や製品カタログに載せるイラストにこだわるようになってきた。医療機関も、施設を紹介するパンフレットのデザインやビジュアルにけっこう凝りますね。ビジュアルを、マーケティングのツールとして重視するようになってきたということだと思います。

 医師も、自らの成果を世界に発信する上でビジュアルが大切だということをすごく意識している。先日、医療関係のフォーラムで著名な医師の方が講演されていました。その方の論文がダウンロード数か何かで年間トップになったらしいのですが、「こんなイラストを載せた論文がすごく読まれちゃって…」なんて、イラストを投影して自嘲されていた。

日本臨床外科学会総会への出展品
日本臨床外科学会総会への出展品
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 懇親会でその方に挨拶する機会があって、自分の仕事のことを話したら「そうそう、そういう仕事をしてもらえる人を探してたんです」って言ってくださった。現場のニーズは強いと感じました。この分野にプロのイラストレーターがいることを知らない方もまだ多いんです。

 それから、2014年に福島県で開催された日本臨床外科学会総会。これはメディカルイラストレーターの仕事に医学界が光を当ててくださった、貴重な機会でした。学会全体のテーマが「外科の美学」で。それに絡めてメディカルイラストレーターの作品を展示する一角を作ってくださったんです。

 日本のメディカルイラストレーターの第一人者、レオン佐久間さんに依頼があって、私もこの企画に参加させてもらいました。外科の美学という言葉が示すように、外科とアートは近いところがある。縫合するときの糸の結びが手早く美しいとか、そういうことが技量の1つだったりするわけです。