――今後やってみたいことを教えてください。
今は、外出をあまりせずに家でじっとしている時間が多い高齢者を救いたいと思っています。週に一度、デイケアを利用していても、それ以外の時間は何もすることがなく時間を持て余している人も多くいます。そんな人は「楽しいことがない」「生きている意味があるのか…」と思うことも少なくありません。
こうした問題が生じてしまう原因には、居住環境の問題もあります。公共施設で体操教室を開催していても会場に行くまでの交通手段がなかったり、雪が降ったら日々の活動が制限されてしまったりする高齢者も少なくありません。高齢者の人口が増えていく中、こうした問題は今の日本にとって大きな問題だと思っています。
そんな人たちに、ICTツールを活用して、ちょっとした体操を家で行ってもらうことで、活動的な生活を行って楽しみを見出してもらえたらと期待しています。子供や孫が持っているタブレットやスマートフォンで動画を見ながら一緒に体操を行うのも良いでしょう。
これから、ICTツールを使いこなせる“YouTube世代”も高齢化していきます。そうした人たちが、私が配信する動画を見て、リハビリテーションやレクリエーションを行ってもらえたらと思っています。実際、先日訪れた施設で、90歳代の利用者から「石田さんの動画を見ながら家でも体操をしているんですよ」と言ってもらったこともあるんです。
私は、「人生のラストに笑いと生きがいを」というモットーを掲げて活動を続けています。ICTツールを活用したり、さまざまな業種の人と協業したりすることで、高齢者に笑いや生きがいを届けていきたいと思っています。
――そのために、異業種の人と連携することなどを考えていますか。
3人に1人が高齢者という時代が迫っている中で、どんな業種も高齢者を対象にしたサービスを考えないといけなくなっていると思います。講演や動画配信などを通じて、自ら知識や情報を発信しているからか、さまざまな業種の企業から協業の提案をいただきます。
私は、介護エンターテイナーとして、既に介護施設にとどまらない活動をしていますが、介護福祉士や作業療法士の知見や経験は、世の中にとって価値があるんだと気づき始めました。もちろん、現場での仕事は重要ですが、介護従事者が自ら発信していくことも必要なのではないかと考えています。
きっと、今まで介護現場で学んできたことや経験を発信するだけで、世の中の人の役に立つことができると思います。リハビリテーションやレクリエーションにエンターテインメントを取り入れている私の考えに賛同してもらえたら、さまざまな人と連携していきたいです。