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――お笑い芸人のどのような経験が、介護現場に役立っていますか。

 実は、漫才で学んだ“笑いの公式”があるんです。ツカミがあって、本題のネタを披露して、オチをつける。この公式は、かなり理にかなっていると思います。

 特に大切なのは、ツカミの部分です。いきなりネタを披露しても、誰も見てくれません。ツカミでいかに観客を引き込み、自分たちのネタを見てくれるような雰囲気を作れるかが大切になるのです。

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 ツカミを大切にすることは、介護現場のリハビリテーションやレクリエーションでも必要だと思っています。「さぁ、体操をしましょう」と言っても、なかなか気乗りしてもらえない場合もあります。まずは、注目を集めて、「今から何かするんだな」という雰囲気にすることが大事なのです。

 実は、私がカツラを被っておばあちゃんに扮しているのもツカミの一つなのです。リハビリテーションやレクリエーションを行う前に、「今からカツラを被って、みなさんと同い年になりますね」という具合に使っています。そう言うと親しみやすさが増すのか、注目してもらえる。88歳という設定にしているのですが、「88歳のおばあちゃんに負けないように体を動かしてくださいよ〜」など体を動かしたくなるような言葉を入れたりもします。

 笑いの要素を入れなくても、みんなの意識を自分に向けることはできます。レクリエーションやリハビリテーションを行う前に、一言「先日こんな失敗をしちゃって…」などと耳を傾けてもらえるような話をするだけでもいいのです。

 ツカミで雰囲気が作れているかどうかは、リハビリテーションやレクリエーションの盛り上がりを大きく左右します。誰かが笑えば、周りもつられて笑っちゃう。そんな相乗効果が生まれるからです。なんとなくリハビリテーションやレクリエーションを行うよりも、より一層効果が現れると感じています。