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――そうした視点に立って、遠隔での診察とモニタリングを組み合わせ、密度の高い医療を提供しようとする試みも増えてきました。

 モニタリングとの組み合わせはとても重要だと思います。いわゆるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)によって、さまざまなバイタルデータを家庭などでも収集できるようになってきました。こうした仕組みとの親和性の高さが、遠隔診療の強みの一つでしょう。

 ただしこうして得られるデータは、患者自身が何を訴えているかというコンテキスト(文脈)の中で解釈すべきものです。例えば、体温が37度前後でも「死にそうです」と訴える患者がいる。それに対して「それくらいの熱では、発熱の範囲には入りませんよ」などと答えていても仕方がありません。患者自身が感じている状態が悪いのであれば、医師は何らかの介入をすべきなのです。

 つまり、数値化された情報が患者のすべてだと思ってはいけない。患者が発する言葉はとても重要で、それがあってこそ客観的な情報としてのバイタルデータも生きるわけです。

 医療の質はこのように、主観と客観を行き来しつつ、それらをいかに組み合わせて活用できるかに左右されます。遠隔診療でも、主観と客観の両方の情報が得られるような仕組みを構築できれば、その質はより高いものになるでしょう。診療報酬においても、そうした価値に適切な評価がなされていくことが望ましいと考えています。