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――AIを医療に応用することを、社会がどう受け止めるかも重要です。

 基礎医学研究に携わってきた私自身、何を一番恐れているかといえば、それは世論です。特に日本では、いったん大きな事件や騒動が起きると、その分野が世論によってつぶされてしまう傾向が強い。

 ですから、AIの可能性や限界について、公正な情報を社会に発信していくことが私達の学会の大切な役割になります。AIは有用な一方、人間にできないことを何でもこなせる万能な存在ではありません。メリットだけでなく、デメリットを含めて誠実に情報を伝えていかなくてはならない。今回の取り組みを、学会という学術集団が主導する意味はそこにあると考えています。

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 幸い、AIへの国民の受け止めは今のところ総じて好意的だと私は感じています。最近、健診でのがんの見逃しなどが報道されていますが、そんな時に「(人間の医師よりも)AIの方がいい」という書き込みをインターネット上でよく見かけます。AIは社会の仮想敵ではなく、うまく活用すべき存在。そんな認識が一般にも広がりつつあることの表れではないかと思うのです。

 どのような分野であれ、技術は社会にうまく溶け込んでこそ進化していく。AIの医療応用でも、技術の進化を社会とうまく同調させていけるかどうかが鍵を握ると思います。その役割を、私達の学会が果たせればいいと考えています。

 当面の目標として、まずは2019年1月に開催する第1回学術集会を成功させたい。具体的なお話はまだできないのですが、学会として(AIのプラットフォーマーである)米NVIDIA社とも連携していきます。AIの医療応用を後押しする仕掛けづくりについて、同社と議論しているところです。こうした民間企業の力を借りることもAIの社会実装に向けては重要ですから、産業界とも積極的に連携していきます。