2016年7月、ドイツ・ライプツィヒに安川電機、ファナック、スイスABB社など、世界シェア上位の産業用ロボットメーカーのロボットが一堂に会した。
ロボットが画像センサを駆使して棚にあるペットボトルや熊のぬいぐるみ、キッチンペーパーなどの日用品を次々と自動認識してピッキング。商品をほとんど落とすこともなく、人の遠隔操作なしに完全自律でカゴに入れていく姿は圧巻だ。
イベントの正体は、インターネット通販最大手の米Amazon.comグループが主催して開催したロボットによる自動ピッキング技術を競うコンテスト「Amazon Picking Challenge 2016」(APC)だ。

昨年に続き2回目の開催だが、今回はディープラーニングによる画像認識や把持の評価といった手法を用いるチームが現れるなど、前回と比べ技術内容は格段に進歩。ロボットによる自動マニピュレーション技術の現状と将来を占う上で見るべき点の多いイベントとなった。大学のロボット研究グループやベンチャー企業との混成チームなど、事前審査を通過した16チーム(うち1チームは棄権)が出場し、ピッキング技術の正確さ、速さ、安定性を競った。
物流における技術開発を促進
主催したAmazon.comグループの狙いは、競技会を通じて物流にまつわるロボットの技術開発を促進することだ。「ロボット技術に変革を引き起こし、競争を促すためにAPCを開催した」。同グループ内で物流向けロボット技術を担当する米Amazon Robotics社 Chief TechnologistのTye Brady氏はそう語る(囲み記事参照)。