この記事は日経Robotics 有料購読者向けの2015年過去記事の再掲載です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 「人命にかかわる災害対応の技術開発を促す意味で価値のあるイベントだった」─。米Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA)が2015年6月に米国で開催したロボットの国際競技会「DARPA Robotics Challenge(DRC)」の決勝(Finals)。2足歩行技術の権威で日本ロボット学会会長を務める早稲田大学教授の高西淳夫氏はこう評す。

 DRCは福島第一原子力発電所の事故対応を契機に始まったイベント。事故後の原発のように人間が入り込めない環境に進入し、無線通信経由の遠隔操作により「バルブを閉める」「階段を上る」「自動車を運転する」など多様な作業を行えるロボットの実現を目指す。

 ロボットの形状に制限はないが、出場の23チーム中、7割が2足歩行型だった。世界中から人間と同じサイズのヒューマノイドが集い、競技を行うのは初の試みで「ロボット工学の歴史に残る大型イベントだった」(DRCに参戦した産業技術総合研究所 ヒューマノイド研究グループ主任研究員の梶田秀司氏)。

 総予算は賞金込みで9750万米ドル(約120億円)。その半分に当たる約60億円が事前審査を通過した14チームに開発費として供与された。DRCは競技自体が注目されがちだが、実態は世界レベルの補助金事業である。ただ、DARPAから資金提供を受けても、開発した技術の知的財産(知財)はあくまで各チームの所有のまま。知財をDARPAや米国政府に譲渡する契約上の義務は一切ない。(DARPA幹部インタビュー記事参照)。