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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 食品業界や医薬品業界などロボットの活用が期待されている「三品産業」の1つ、化粧品業界で協働ロボットが広がり始めた。化粧品メーカー大手の資生堂が、メーキャップ製品の主力工場である静岡県の掛川工場に、カワダロボティクスの双腕型協働ロボット「NEXTAGE」を導入した(図1)。

 ファンデーションのリフィル(詰め替え品)やスポンジなど、細かな内容物をまとめて小さな箱に挿入する作業をロボットで自動化した。両手を協調させることで専用の治具を多く用意しなくとも済むため、化粧品業界で加速する多品種少量化の動きに対応しやすい。現在は2台が試験導入段階で、2017年8月に本格稼働させる。導入を主導した資生堂 生産技術開発センター 生産基盤開発室 生産基盤強化グループ グループマネージャーの小林毅久氏は「化粧品業界で人型の協働ロボットを導入するのは世界でも初」と胸を張る。

図1 資生堂の静岡県掛川工場では年間1億個以上を生産
図1 資生堂の静岡県掛川工場では年間1億個以上を生産
メーキャップ製品の主力工場と位置付ける掛川工場では、ファンデーションや口紅など数千種類のメーキャップ製品を生産。このうち、ファンデーションなどの粉末化粧品は約30%を占める。今回、粉末化粧品の箱詰め工程に協働ロボットを導入し、従来人手に頼ってきた作業を自動化した。(写真左:資生堂)
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 資生堂は掛川工場において以前から製品の搬送作業などにスカラロボットを活用するなど、ロボットを使った自動化に積極的な企業だが、ここにきてさらにその方向性を加速させている。2018年には約400億円もの巨額の資金を投じて、化粧水や乳液といった基礎化粧品を生産する新工場を大阪府茨木市で着工し、2020年度に稼働させる予定だ。新工場では化粧品の生産だけでなく、製造後の製品の保管や出荷を担う物流センターも併設。そのピッキング作業にもロボットを利用する計画で、まさにロボットを全社的に導入しようとしている。今回の協働ロボット導入も、こうした取り組みの一環といえる。

 資生堂がロボットによる自動化に取り組む背景にあるのは、化粧品業界で進む多品種少量化の流れである。掛川工場ではメーキャップ化粧品や医薬品、ヘアケア商品などを年間で約1億1000万個生産している。このうち、ファンデーションや口紅、アイシャドーといったメーキャップ化粧品は個数ベースで6割以上と多くを占める。