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この記事は日経Robotics 有料購読者向けの過去記事(2016年)の再掲載です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 九州大学病院は、毒性を持ち医療従事者に健康被害をもたらす可能性のある抗がん剤の調合を、双腕ロボットを用いた装置で自動化した。2015年9月から、入院患者向けに実際の臨床での利用を開始した。

 同病院では抗がん剤の調合を入院患者と外来患者向けの合計で1日当たり200件ほど行っている。従来、8人の薬剤師がこれを分担し、1人当たり1日に約1時間、調合作業に充てていたが、今後、この1〜2割を自動化装置で代替。業務を効率化するとともに、抗がん剤への曝露リスクを減らす。

 抗がん剤には複数の種類がある。現時点で同装置で自動調合できるのは「カルボプラチン(carboplatin)」や「フルオロウラシル(fluorouracil)」など特定の抗がん剤のみだが、今後、調合できる抗がん剤のレシピを10種類以上に増やし、2016年から本格稼働させる(図1)。医師が電子カルテシステム上で発行した患者の処方箋を同装置が電子的に受信し、薬剤師によるチェック作業(鑑査)を経た上で、24時間自動で調合を行えるようにする。

図2 双腕ロボットをカスタマイズして利用
図2 双腕ロボットをカスタマイズして利用
安川電機の15軸双腕ロボット「MOTOMAN-SDA5」を基にして、今回の用途向けにカスタマイズした。同社のバイオメディカル用の双腕ロボット「BMDA3」とは異なる。(左上の写真:九州大学病院)
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 抗がん剤はがんの症状に合わせて様々なものが開発され、数十種類以上が利用されている。ただし、抗がん剤はDNAに直接作用するものなどがあり、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与え得る。