2015年4月22日、東京・永田町の首相官邸屋上にドローンが落下しているのが発見された。この「首相官邸ドローン事件」などをきっかけとして、同年12月に、異例の早さで「改正航空法」が施行された。しかしその最大の問題は、重さ200g以上のドローン全てに対して、厳格な事前許可・承認制を設けた点にある。
規制の対象を200g以上のドローンとした理由を国土交通省は、「野球のファウルボールが客席を直撃する際の運動エネルギーと同じだから」と説明した。だが、野球の打者がファウルボールを打つ前に、いちいち許可申請はしない。すなわち、ファウルボールが観客に当たる危険性については、「事後救済で十分」という社会的合意が存在しているのである。
それにもかかわらず、政府は200g以上のドローンの飛行に対して10開庁日(ほぼ2週間)以上前の事前許可・承認申請の義務を課した。今回の改正航空法は若者がドローンで遊ぶ機会を事実上奪うだけでなく、「空の産業革命」の担い手が育つ芽を摘んでしまっている。