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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 ケガや病気、老化などで日常生活に必要な物理的身体機能が損なわれたとき、ロボットの支援によってその機能を取り戻すことができれば、人間の生活はより豊かになるだろう。この場合、ロボットは人間と物理的接触を持つことになるが、人間に違和感を抱かせないロボットの開発は容易ではない。

 一般にロボットは動きが硬くて融通が利かない、という印象を持つ人が多いかもしれない。その大きな要因の1つとして、制御の問題がある。つまり、動きのパターンを前もって設定し、忠実に再現しようとするわけだが、ロボットに接する人間から見ると不自然な動きに映るケースが多い。

 一例として、人と握手するロボットを考えてみよう。ロボットが人の手を握ったとき、もしロボットが前もって決められた動き、例えば周期0.6秒 振幅3cmで機械的に上下運動を繰り返したら、たぶん人の手の動きとかみ合わなくなり、人は違和感を持つに違いない。人と接触するロボットには、人に近い自然な動作が求められるのである。