IoT(Internet of Things)による見える化やロボットを駆使した自動化、新しい生産方式の投入─。日本の製造業が、これまで以上に「強い工場」を構築すべく取り組みを加速させている。その背景にあるのは、新興国の追い上げなどによって工場の競争力が弱くなっているとの危機感だ。変種変量生産に対応しつつグローバル市場で勝ち残るには、「生産性」「品質」「柔軟性」にさらに磨きをかけなければならない。さらなる高みをめざす最先端工場の姿を追う。

もっと「強い工場」
目次
-
「他にないものを高品質で造る」に潜む人材不足への懸念
調査テーマ「日本の工場の強さ」
他にまねできない製品を、高い品質で造れる優れた生産ノウハウ・技術を持つ工場─。それが多くの技術者が描く「強い工場」像だ。しかし、第1部で述べたように日本の工場の弱体化に対する危機感は強い。その大きな要因の1つが人材と言えそうだ。調査から、強い工場の実現には人材こそが重要との意識が以前にも増して高まっ…日経ものづくり
-
自動化の実験場にしてショールーム、市場見極め絶えず進化
【生産性】【柔軟性】安川電機 モーションコントロール工場
安川電機の中核製品の1つであるサーボモーターとその制御機器であるサーボアンプ。生産設備などの駆動部に使われるそれら製品の生産のマザー工場として、生産性向上と変種変量生産を追求し続けているのが、同社入間事業所のモーションコントロール工場(埼玉県入間市、以下MC工場)だ。日経ものづくり
-
完成車工場にセル生産のアイデア、クルマの進化にも柔軟に対応
【生産性】【柔軟性】ホンダ プラチンブリ工場(タイ)
ホンダがタイに新設したクルマの完成車工場であるプラチンブリ工場。2016年3月から稼働を開始し、現在は4ドアおよびハッチバックの「Civic」「Jazz(日本名:フィット)」「City(同:グレイス)」の4車種を混流生産している。日経ものづくり
-
記憶に頼らず正しくカイゼン、多品種少量で納期半減
【生産性】日立製作所 大みか事業所
「ボトルネック工程を改善するべく対策を講じるとき、以前は問題が起こった後で時間が経ってから、状況把握のために作業者にヒアリングしていた。作業者の記憶を基に、この辺が悪かったのでは、と推定しながら対策を考えていた」〔日立製作所制御プラットフォーム統括本部(大みか事業所)情報制御第三本部本部長の大橋章宏…日経ものづくり
-
自動化とインライン検査で不良なし、品質支える高い内製化率
【品質】【生産性】東北エプソン
「最終的な歩留まりは100%に近い」。東北エプソン(本社山形県酒田市)代表取締役社長の内堀眞司氏は、自社で製造するプリントヘッドの品質に自信をみせる。日経ものづくり
-
徹底して造り込む高級車品質、にらみを利かせる8人の「匠」
【品質】トヨタ自動車 元町工場
2017年1月、トヨタ自動車は元町工場に高級車の専用生産ラインを稼働させた(図1)。クーペモデルの「レクサスLC500」とハイブリッド車「同h」を造る。共に1300万円を超える高額なクルマだ。新しい生産ラインの特徴は、急がずに丁寧に作業し、この価格に見合った高品質を造り込むことである。日経ものづくり
-
弱体化する現場に危機感、先端技術と人の両輪で底上げ
総論
他社にない製品、優れた品質の製品をより早く、より安く造る。日本の製造業はそんな「強い工場」を目指して、技術と人を磨き続けてきた。しかし、市場も生産拠点も海外シフトが進み、新興国の工場も実力を高めてきている。こうした中、海外勢に負けじと、国内外の工場が最新技術を活用しつつ、もっと「強い工場」の実現に向…日経ものづくり
-
情報の見える化もロボットも、人による改善の糧にする
【生産性】IHI 相馬第一工場、第二工場
IHIが2016年度から取り組む「IQファクトリー」は、航空機エンジンの部品などを製造する同社の4工場(相馬第一工場、相馬第二工場、呉第二工場、瑞穂工場)での実証が進んでいる。目指すのはスループットを2018年度までの3年間で2倍にすること。同社が手掛ける民間航空機エンジンは2巡目に入っており、生産…日経ものづくり