“外資”を選んだ市光工業
自動車メーカーの下に部品メーカーがぶら下がる日本の系列構造が転換点を迎えている。日産自動車は2016年11月、カルソニックカンセイの売却を決めた。メガサプライヤーとの付き合いを強化するホンダを見て、ケーヒンは電動車両の制御システムの受注提案を中国で始めた。自立企業に向けた動きが増える。
日産系から離れ、海外メガサプライヤーの一員になったのが市光工業だ。フランスValeo社は2017年1月、市光工業への出資比率を32%から55%に引き上げ、子会社化した。ヴァレオジャパン社長のAli Ordoobadi氏は「二つの会社がようやくワンチームになった」と語る(図)。
両社が資本提携を結んだのが2000年。地域や製品を分担することが中心で、シナジー効果を出すには至っていなかった。子会社化を機に、両社は共同開発を推進する戦略だ。Ordoobadi氏は「リソースを共にして研究開発を強化する」と意気込む。既に、カメラとディスプレーを用いた「電子ミラー」で成果を出し始めた。両社の技術を組み合わせて、カメラモジュールに洗浄機能を追加。鮮明な映像を得られるようにした。
小型・軽量化ばかりを求められてきた日本の部品メーカー。要素技術の開発にこだわりすぎるきらいもある。市光工業の挑戦は、日系部品メーカーが生き残る道を探るヒントになりそうだ。