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将来の人材育成に必要な教育とは

 しかし、ドイツの教育システムに問題がないわけではありません。産業界からは、高等教育(一般大学や専門大学)修了生の能力低下を指摘する声があります。これについては、1999年にドイツの高等教育システムを欧州連合(EU)標準に準拠するように変更した影響や、教育システムの運営責任を持つ州政府の予算不足などが原因と考えられています。

 加えて、初等教育における教育方法の変更や移民の増加なども、ドイツの平均学力の低下に関係しているとの指摘も出てきています。実際、基礎学校4年生(一般に9〜10歳)を対象とした、読解力や認知力などを幅広く測定する「国際読書力調査(PIRLS)」の直近(2016年)の結果では、ドイツは26位にとどまっており、ロシアやシンガポールといった上位国とは大きな差があります(ちなみに米国は15位、日本は不参加)。

 2001年の同調査でドイツは6位でしたので、一層の教育改革が必要であるのは明らかです。ドイツ企業は熟練技能者の不足に直面しており、製造現場だけではなく研究開発分野などでも、国外から優秀な人材を確保しなければならない状況にあるからです。

 1970年代初頭の教育制度の成果が今になって現れているように、適切な教育制度を導入しても、その成果が実を結ぶのは数十年先のことです。ドイツ、そして日本が考えなければならないのは、数十年先の未来に求められる人材の育成に最善な教育制度はどのようなものか、なのです。