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鉄道システムでは、設備保守や駅でのサービスなどさまざまな方面でIoTの活用が始まっている。公共交通に求められる安全性や、利用者の満足度を高める試みだ。センサーの情報を活用して、これまでになかったサービスを提供する「感じる鉄道」が誕生する。背景には、クルマの自動運転や少子高齢化などに対する強い危機感がある。

 東京駅周辺の地下街にばらまかれた約300個のBluetooth Low Energy(BLE)ビーコン─。国土交通省は2016年2月、東京駅周辺の地下道でつながった範囲で歩行者のナビゲーションサービスの実証実験を開始した。BLEビーコンや無線LAN測位などを組み合わせて、利用者のAndroidスマホで動作する専用アプリケーションで目的地まで誘導する試みだ。複数の鉄道事業者やビルの所有者を巻き込んで、かつてない広範囲での情報提供を狙う。

 鉄道分野でIoT(Internt of Things)やビッグデータを活用する動きが加速している。センサーやネットワークを使って列車や駅の安全性を高めたり、センサーのデータを解析して列車運行や鉄道設備のメンテナンスを効率化したりする取り組みだ。屋内測位などの技術も組み合わせて、駅構内(駅ナカ)や駅周辺(駅チカ)の利便性を向上したり商業の活性化を目指す試みも始まった。

 鉄道事業者がIoT/ビッグデータの活用に積極的なのは、日本の鉄道業界を取り巻く環境が大きく変化しているためだ(図1)。特に地方における少子高齢化や増加する来日外国人への対応は待ったなしの状況。その先には、自動運転車の脅威が見え隠れする。鉄道は一度に大量の人を運ぶことができるが、敷かれた線路を走行するのでバスやタクシーに比べると移動に対する自由度が低い。「自動車の自動運転が実現した場合、地方などで鉄道の存在意義が問われることになる」(ある鉄道関係者)といった声もある。

図1 鉄道がセンサーネットやビッグデータの活用の場に
図1 鉄道がセンサーネットやビッグデータの活用の場に
鉄道分野では、鉄道設備の老朽化や少子高齢化などを背景にセンサーネットワークやビッグデータを活用して、交通インフラとしての競争力を高める機運が高まっている。
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 こうした中で利用者をつなぎとめるには、利便性や利用者の満足度を高めることが不可欠。東京オリンピックの開催や自動運転車の実用化が本格化する2020年をメドに、さまざまなシステムが実用化されそうだ。