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 共通化と自由度の融合──。ホンダのグローバル生産戦略の方向性を一言で表すとこうなる。日本で考えた効率的なクルマの造り方をベースにしつつも、国境の壁を壊して世界の各地域で考案された特有の造り方を取り込んで、柔軟性を備えた競争力の高い生産ラインの構築を目指すのである(図1)。

図1 ホンダのグローバル生産戦略の方向性
図1 ホンダのグローバル生産戦略の方向性
日本が考えた造り方を基盤として共通化しながらも、世界各地域の造り方を取り込む自由度を認めることで、柔軟で競争力の高い生産ラインの構築を目指す。自由度を許容するのは「ホンダらしい」クルマづくりを実現するため。
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 従来のホンダのグローバル生産に、海外の自由度は乏しかった。実力が伴っておらず、日本からの支援に大きく依存せざるを得なかったからだ。だが、今や世界の各工場が十分な力を付けてきた。中でも北米は、2015年にグローバル車種である「Civicセダン」を現地が中心になって立ち上げたほどの高い能力を備えている(図2)。だからこそ今、同社は日本発の共通化と海外の自由度を融合させる戦略を打ち出せるのである。

図2 グローバル車種「Civicセダン」
図2 グローバル車種「Civicセダン」
北米工場が中心となって立ち上げた。北米工場は地域の「自立化」の象徴で、日本工場に次ぐ高い実力を備える。
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 自動車業界は今、変化の過渡期にある。パワートレーンを見ると、既存のガソリンエンジンの延長線上にある高効率エンジンに加えて、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車、そして燃料電池車まで技術開発が進んでいる。ICTや人工知能(AI)、ロボットなど異なる分野から技術を取り込み、自動運転車を実用化しようとする動きも加速。ビジネスが先進国に加えて新興国を含めた世界各地域に広がる中、顧客ニーズの多様化も進んでいる。こうした中、ホンダにとって最大の課題は、「ホンダらしいクルマをいかに造るか」になっている。

 とはいえ、この課題に対する明確な回答を同社が持っているわけではない。恐らく、「買って使って喜んでくれる顧客」が存在すれば、それがホンダらしいクルマということになるのだろう。これでは結果論にしか見えないが、1つだけホンダが断言できることがある。それは、画一的な考え方のクルマづくりをしていては、ホンダらしいクルマを実現することは不可能だということだ。グローバル生産においても、日本人が「正しい」と考えた造り方を世界の各工場に強要するのではなく、現地が考えた造り方を許容することで画一的になるのを排除しているのである。