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ひらめきは異業種から

 自分にない知識を求める場所は、なにも社内だけに限ったことではありません。私は「おもちゃショー」が好きで、よく展示会場に足を運びます。加えて、木偶師(でぐし)というからくり機構を製作する方々とも交流を持っています。おもちゃやからくりは限られたコストの中で、すばらしい機構を入れ込んでいて、ものづくりの参考になります。

 少し前になりますが、会社の方針で生産ラインを増設することがありました。この時、部品をかしめるためのカシメ機という装置を増やす必要があったのですが、これが非常に大きくて、ラインの増設に合わせて導入すると工場自体も増築しなくてはいけないという状況になっていました。

 そこで私はマジックハンドなどの機構を用いて、同等の機能を持つ装置を従来の1/5程度の大きさで実現しました(図)。マジックハンドの機構を使うというのはお風呂に入っていた時に、ふとひらめいたのですが、日ごろの業務やさまざまな機構に触れていたという経験があったからこそ、アイデアとして昇華されたのではないかと思います。

図 小型化したカシメ機
図 小型化したカシメ機
マジックハンドなどの機構を組み合わせることで、従来品より80%小さくした。作業者の歩行距離も95%低減できたという。
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 繰り返しになりますが、今では製造現場を機械系のみ、電気系のみの知識で把握することは昔より格段に難しいでしょう。先ほど話したからくりのように、どうすれば効率的な生産設備ができるかを考えたり、作業者や機材の状況を把握するためにセンサーを配置したりしなくてはならないからです。

 だからこそ専門分野はもちろんのこと、異分野や異業種の知識に常日ごろから触れ続けることが大事です。インターネットのおかげで知識を獲得することは容易になりました。そのせいか、知識は与えられるものだと考えている人も見受けられます。きっとインターネットがあっても、もっと知識や技術を貪欲に追い求めるべきなのではないかと思いますし、私自身も技術の進歩に後れを取らないためにそうありたいと思っています。