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 本コラムではこれまで、インダストリー4.0(I4.0)で実現される新しいビジネスモデルを幾つか紹介してきました。例えば、実際の稼働情報に基づいた機械の予知保全サービスや、工場の余剰生産能力を互いに融通するマーケットプレイスなどです。ドイツでは、デジタル化によって可能になる破壊的(disruptive)なビジネスモデルを「Smart Service Welt(SSW)」(Weltはドイツ語で「世界」を意味する単語、英語の「World」に相当)と名付け、2013年ごろからI4.0と並行して積極的に取り組んできました。

 SSWを巡っては、独立的な見地から最新の技術テーマに関する方向性や施策などを政府に提言するドイツ工学アカデミー(acatech)が推奨レポートを発表しているほか、ドイツ経済エネルギー省(BMWi)も企業などによるSSWの実現を支援する資金援助プログラムを推進しています。このプログラムでは、2014年の第1弾で20のプロジェクト、2016年の第2弾で15のプロジェクトが支援を受け、現在も活動を続けています。

協業のためのデジタルインフラ

 SSWを実現するには何が必要になるのでしょうか。前回紹介した「Technology Data Marketplace」を例に説明したいと思います1)。これは、クラウド上のマーケットプレイスでさまざまなプレーヤーが技術データを自由かつ安全に売買するというものです。

 Technology Data Marketplaceの主な要素は、[1]エコシステムとマーケットプレイス、[2]統合的な支払い機能、[3]セキュアなユーザーID、の3つです。IDによって個々のユーザーを識別・管理し、膨大な情報を収集・分析することで、ユーザーニーズに合致したサービスや製品を提供できます。さらに、ユーザーは実際の利用状況に応じた支払いが可能です。

 このような新しいビジネスモデルの実現には、ユーザー/サービスベンダー/メーカーが協業するためのデジタルインフラストラクチャーが必要です(図1)。その土台となるのは、スマート端末や機械が互いに遅延なく連携するための技術インフラ「Smart Spaces」です。その上でさまざまな「Smart Products」が稼働し、これらが「Networked physical platforms(ネットワーク接続された物理プラットフォーム)」を構成します。

図1 SSW実現に向けたデジタルインフラストラクチャーの階層構造
図1 SSW実現に向けたデジタルインフラストラクチャーの階層構造
Smart Spaces上でSmart Productsが稼働し、その分析によって得られたSmart Dataを活用したSmart Servicesを提供する。 (出所:DFKI/acatech/Accenture社)
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