クルマの技術開発が分岐点に差し掛かっている。環境規制や安全規制の強化に加えて、自動運転の競争激化、コネクテッドカーへの対応など、その対象が多方面に広がっているためだ。自動車メーカーが2017年に実用化する技術を展望することで、クルマの進化の方向性を見いだす。

2017年の技術キーワード
目次
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共通化と先進性を使い分け
クルマの開発現場の負荷が高まっている。環境・安全規制への対応に加え、自動運転やコネクテッドなど開発範囲が広がりすぎているためだ。ただ、2017年に実用化される見込みの技術を見渡すと、明日を切り開くものも見えてくる。電動パワートレーンからボディー・情報系、車体と各分野に注目技術がある。日経Automotive
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IntelがMobileye買収、3勢力の競争へ
AIコンピューター
自動運転技術に欠かせない、人工知能(AI)の一種であるディープラーニング(深層学習)。同アルゴリズムを実行するAIコンピューターの開発を巡り、三つの勢力が競い合う構図が見えてきた(図1)。主役に立つ米NVIDIA社の連合を、半導体最大手の米Intel社が猛追する。日本からはトヨタグループに東芝を加え…日経Automotive
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制御系への本格採用が迫る
OTA(Over The Air)
車両の電動化が進む中、車載機器のECU(電子制御ユニット)に組み込まれるソフトウエア(制御ソフト)の規模や複雑さが右肩上がりに増している。車両1台当たりの制御ソフトのコード行数は、現在では中規模銀行の基幹系(勘定系)システムと同等の規模である1500万~2000万行に膨れ上がった。さらに今後は、自動…日経Automotive
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メーターとカーナビ勢で競争激化
HUD(ヘッド・アップ・ディスプレー)
車両の速度や進行案内などの情報を、運転者の前方2mほど先に浮かんでいるように見せるHUD(ヘッド・アップ・ディスプレー)。運転中の視線移動を減らすことができるため、安全性を高められると普及が進む車載機器だ。日経Automotive
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NiリッチでLIBは200Wh/kg以上へ
電池の高エネルギー密度化
質量エネルギー密度を200~300Wh/kgに高めた第2世代の車載用リチウムイオン電池(LIB)。2017年以降、その搭載が本格化しそうだ。背景には、電気自動車(EV)の満充電1回当たりの航続距離や、プラグインハイブリッド車(PHEV)のEV走行距離(エンジンを回さずにモーターだけで走れる距離)を延…日経Automotive
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直6復活へ、1気筒500mLが主流に
モジュラーエンジン
日経Automotive
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新興国向けAセグ車、日欧が激突
部品の共通化
2017年は「部品の共通化」戦略の“真価”が問われる年になりそうだ。車両開発と生産にかかるコストと時間を大幅に削減することを目的に、自動車メーカー各社は部品の共通化を進めてきた(図1)。最近では、ドイツVolkswagen(VW)社が電気自動車(EV)向けプラットフォーム「MEB(Modular E…日経Automotive
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1.5GPa級ホットプレスの採用進む
超高張力鋼板
日経Automotive
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V2Xの領域でDSRCと競合へ
5G(第5世代移動通信)
NTTとトヨタ自動車は2017年3月、次世代の移動通信技術である「5G(第5世代移動通信)」を活用するコネクテッドカー(つながるクルマ)の研究開発で協業すると発表した。多数のクルマから車両の状態や走行データなど情報を収集して蓄積、分析処理するICT(情報通信技術)基盤の研究開発や、5Gの自動車向け標…日経Automotive
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“脱・製造業”、問われる1年に
サービス化
クルマを使ったサービス事業の取り組みが急増している。「モビリティーサービス」や「MaaS」(Mobility as a Service)と呼ばれることが多い。これを商機にしようと、自動車メーカーが本腰を入れ始めた。日経Automotive
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燃費規制の緩和がTrump対応の要
北米市場
米大統領のDonald Trump氏が、自動車メーカーを揺さぶる。その要因としてフロスト&サリバンジャパン自動車・交通運輸部門シニアコンサルタントの森本尚氏は、(1)TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの離脱(2)NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉(3)米国内での増産と雇用の創出(4)燃費規…日経Automotive