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携帯電話機のバイブレーターから電気自動車の原動機、ロボットの駆動まで、モーターの利用は至る所に広がっている。その背景には、モーター自体と、制御回路であるインバーターの高性能化・高効率化がある。本連載では6回にわたり、モーターとインバーターの基礎と最新技術について解説する。今回はその第1回として、モーターの基本を説明する。(本誌)

 モーターの進化によって、油圧制御から電気制御への移行が進み、1980年ごろには電気制御が主流となった注1)。さらに1985年ごろには半導体デバイスや制御技術の発展により、ブラシ付きDCモーターに代わって永久磁石同期モーター(PMSM)が主流になった。また、近年、高性能磁石の原材料であるレアアースの高騰を背景に、永久磁石を使用しないスイッチトリラクタンスモーター(SRモーター)が注目を集めている。

注1)モーターによる電気制御は油圧制御に対して、静粛で扱いやすく、小型で簡便という特徴がある。当初は、駆動力と速度の面で油圧制御に劣っていた。しかし、高精度・高機能の磁石の開発などによってモーターの性能が上がったことや、マイクロコンピューターやデジタル回路技術の進展によって10ms以下の応答が得られる電気制御が実現したことで、駆動力と速度は大幅に向上した。さらに、モーター本体および駆動回路の小型・軽量化が急速に進んだことで、電気制御が主流になった。
永久磁石同期モーター(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)=永久磁石(強磁性体)を使用した同期モーターで、方形波電圧や正弦波電圧を巻き線に印加して回転磁界を作ることでローターを駆動する。ローターを回転させたときに巻き線に誘起する起電圧が正弦波になる(正弦波着磁)モーターと、起電圧が台形波になる(方形波着磁)モーターがある。多くの場合、方形波着磁のモーターは、ブラシレスDCモーターと呼ばれることが多く、永久磁石同期モーターと区別して呼ばれることが多い。ただし、この呼称は必ずしも一般的ではないため、実際には仕様などの確認が重要である。
スイッチトリラクタンスモーター(SRモーター、SRM:Switched Reluctance Motor)=永久磁石を用いず、巻き線が作る磁束とローターの突極部の吸引力によって回転駆動を得るモーターである。構造がシンプルかつ堅牢で低コストであり、高速回転域でも高効率が保てる一方で、振動面などに課題がある。

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