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モーターを効率よく駆動するためには、モーター自体の効率を高めるだけでなく、電力変換回路の効率や制御効率を高めることが重要である。また、エネルギー回生を効率よく行い、そのエネルギーを蓄えるための蓄電技術も重要な技術である。今回は、このような効率向上のための技術を解説する。

 スマートフォンから電気自動車やロボットまで、モーターの利用が広がっている背景には、モーター自体とその制御回路の高性能化・高効率化がある。今回は、モーターを効率よく駆動するための重要な技術である、エネルギー回生と、インバーターおよびコンバーターについて解説する。

効率的なエネルギー回生

 モーターは、駆動時は電源のエネルギーを消費して回転トルクを発生し、回転する。回転を止めようとするときには、回転エネルギーを0(ゼロ)にする必要がある。回転体が持つエネルギーをバッテリー(電源)に戻し、エネルギーを再利用する方式がエネルギー回生と呼ばれる手法である。これはエネルギーの利用効率向上における重要なポイントの1つである。

 回生されたエネルギーをバッテリーに短時間に蓄積しようとすると、さまざまな問題が発生する。バッテリーには、内部インピーダンスがあるために、大きな電流を流して蓄電しようとすると、バッテリーの端子電圧が上昇してしまう。また、バッテリーは化学変化によってエネルギーを蓄積する。このため、短時間に大きな充電電流を流そうとすると、化学変化が追いつかず、その結果バッテリーの内部インピーダンスが高くなり、バッテリーの端子電圧が上昇してしまう。場合によってはバッテリーの端子電圧が定格電圧の数倍に達し、周囲の回路が破壊されることさえある。

 この問題は、電源と並列にキャパシタを置くことで解決できる。ただし、電源の種類によって特性が異なるので、マッチングを検討することは重要である。

 このとき配慮したいのは、キャパシタにためられるエネルギー量は電圧に依存することである。図1(a)のように、モーターの端子間電圧が10V、キャパシタの電圧が24Vの場合、電流はモーターに流れ込む。このため、モーターは電力を消費し、トルクを発生する。一方、図1(b)のように、モーターとキャパシタの間に制御回路(昇圧回路)を置くと、キャパシタに電流が流れ込むようになる。同図の場合、モーターの端子間電圧が10Vであっても、その電圧は24V以上に昇圧され、24Vのキャパシタに電流が流れ込む。この図の場合は、モーターには2.4Aの電流が流れ、キャパシタには1Aの電流が流れ込む。これはエネルギー保存の法則が成り立つためである。モーターから取り出す電力と蓄電する電力は等しいということである。同図の場合、パワー回路やモーターの損失などがないもの(0W)とすると、モーターは10V×2.4A、つまり24Wの電力を出力し、キャパシタは24V×1A、つまり24Wの電力を受け取ることができる。

図1 エネルギー回生を行うには
図1 エネルギー回生を行うには
モーターの端子電圧が低い場合は、電源からモーターへ電流が流れ込み、モーターに電力が供給されている状態となる。従って、この状態ではエネルギー回生はできない(a)。昇圧回路を用いれば、モーターの端子電圧が電源電圧より低くてもエネルギー回生が可能になる(b)。
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