PR

 最大のメリットは、EVの軽量化、低価格化、そして長距離走行が容易になることだ。

 高速道路などで走行中給電が実現すれば、蓄電池の容量が小さくて済む。これまでのEVが陥っていた、長距離走行のために蓄電池を多量に積載して価格が高騰し、重量が増すことで電力の“燃費”が悪化するという悪循環から解放される。

 その最初の構想から10年。走行中給電はこれまで、“SFの世界の話”と切って捨てられることも多かった。それがここへきて、実用化を真剣に議論する段階となり、世界各地で実証実験が始まっている注2)

注2)実証実験が早かったのは韓国だ。2010年に韓国の大学院大学Korea Advanced Institute of Science and Technology(KAIST)が、ソウル市の公園内の1周2.2km周回道路の約100mでWPTを実験。その後も、KAISTはキャンパス内や韓国中部のGumi(亀尾)市などで実験を繰り返している。
 最近では、英国、スペイン、イタリア、フランスなどでも道路を使った実証実験の準備が進んでいる。

 日本では、2016年3月に豊橋技術科学大学の大平研究室が同大学キャンパス内で実験を行った(図1(b))。電界結合型WPTシステムを採用し、車両に電池を一切搭載せず、道路からの給電だけで走行した。また、東京大学 教授で、自動車技術会(JSAE)ワイヤレス給電システム技術部門委員会 委員長の堀洋一氏の研究室も、道路舗装大手の東亜道路工業と共同で、2016年中にも実験を始める計画だ。東亜道路工業は2013年に、弾力性のある特殊セメントを開発し、コイルを深さ4cmという浅い部分に埋め込めるようにした。それまでコイルを損傷しないために1mは必要とされていた埋め込み深さを大幅に浅くして、WPTシステムの道路への敷設費用を軽減できる可能性を示した。