世界的な産業界のカリスマが経営の舞台を去る。

2017年6月12日、米General Electric社(以下、GE社)は最高経営責任者(CEO)を交代させると発表した。16年間トップを続けてきたJeff Immelt氏がCEOを退任(図1)。同年8月1日付で、社内カンパニーのGE Healthcare社で社長兼CEOを務めるJohn Flannery氏がGE社のCEOに昇格する(図2)。

Immelt氏は2001年9月にGE社のCEOに就任して以来、長年にわたり、同社の変革をリードしてきた。とりわけ注力してきたのが多様な事業を抱える複合企業体だったGE社を、B2Bのものづくり企業にシフトさせることだった。
2001年時点ではGE社は、航空機エンジンや医療機器などの産業機器に加えて、金融部門のGE Capitalから、放送メディア部門のNBC、家電部門まで事業分野が多岐に広がっていた。前任のJack Welch氏は、当該産業で1位か2位になれる事業にだけ集中する方針を徹底。選択と集中を進めたが、事業領域そのものは広範にわたり、互いに相乗効果が生み出せないケースも目立っていた。
これに対して、Immelt氏は世界一の産業機器メーカーになることを目指し、保険や消費者金融などの金融部門を縮小し、メディア事業の持ち株や家電事業も売却。売却益を活用し、航空機エンジンや発電用タービン、医療機器などの分野を買収も含めて強化してきた。